社債とは
中小企業の資金調達手段は、まず日本政策金融公庫や保証協会の保証付き融資から始まり、その後金融機関のプロパー融資へと移っていくのが通常です。
いずれも金融機関ですので、財務状況に主眼を置いた借入審査が行われます。ですので財務状況が悪くなれば金融機関は融資を断ってくるため、たちまち資金調達手段がなくなってしまいます。
こういった場合、資金調達の別の手段として経営者は縁故者(親族や知人、取引先、従業員など)に資金支援を依頼することが考えられます。
こうした経営者の縁故者から資金を調達する場合、社債の募集が適しています。社債は借入と同じ「負債」にあたる資金調達手段です。
資金支援の対象である縁故者は、財務状況の善し悪しよりも経営者への信用や仕事ぶりを評価しますので資金調達はしやすいと言われています。とはいえ、何の資料もなく、経営者の信用のみで縁故者に「お金を貸してください」とはなかなか言いにくいものですので、そういった際に金利や期間、資金使途などが明確になっている資料を準備し、「社債を募集しますので引き受けてください」と説明をした方が縁故者にとっても判断がしやすくなるでしょう。
通常、金融機関にお金を預けるより金利は大きくなるので、「資産運用」という意味においてもメリットはあると考える方もたくさんいるでしょう。
社債の概要
では、「社債って何?」ということですが、社債とは、企業が発行する債券のことを言います。
社債はあらかじめ償還期限(定期預金の満期のように元本が戻ってくること)とその間の利回りが決まっていて、発行する企業は社債を引き受けてもらった一般投資家に対して毎期社債の利率に応じて利息を支払います。そして償還期限が到来すると元本を一括して投資家に返済する必要があります。
金融機関からの借入との違いは、社債は一般の投資家から広く資金を調達する手段であること、そして満期が長いので長期の資金を調達することが可能である点などが挙げられます。
ここでは届出が必要ない簡易な手続きで資金が調達できる「少人数私募債」について詳しく解説をしていきたいと思います。
少人数私募債とは
少人数私募債とは、会社が身近な少数の人から事業資金として直接募るために発行する社債で、官庁への届出や報告の義務がなく、社債管理会社への委託も必要がないため、時間と費用をかけずに簡単に発行することができます。また少人数私募債による資金調達は担保や保証人が不要で長期の安定資金として活用することができます。
しかし会社の収益に関係なく年1回の約定利息(あらかじめ決められた利息)の支払いが発生し(ただし利息の支払いは後払い)、また償還期日においては元本の一括返済が発生するため、償還期日において資金繰りが悪くなる可能性がありますので注意が必要です。
また、身近な少数の縁故者に対し、発行企業が魅力的な企業で将来性のある優良企業であることをアピールし、私募債を引き受けることにメリットがあると感じてもらわなければいけません。例え縁故者と言えども投資リスクが直接伴うわけですから慎重に判断することになるでしょう。
しっかりと事業計画を練り、それを書面に盛り込んで整合性のある事業計画書に基づいてプレゼンを行いましょう。
少人数私募債が発行できる条件
少人数私募債が発行できる条件は以下の通りです。
- 株式会社であること
- 社債購入者は50名未満(ただし過去半年以内に私募債を発行していればその人数と合算する)
- 社債の一口の最低金額が1/50未満
- 募集対象者は発行体の経営者の縁故者(親族・知人・社員・取引先など)
- 官庁への届出は必要なし
少人数私募債の発行にかかる決定事項
下記事項について事前に取り決める
- ①社債の募集総額
- ②社債の一口の額
- ③社債の利率
- ④償還期限と償還方法
-
(例)
①募集総額:15,000,000円
②一口の額:500,000円(発行口数:30口)
③利率 :年5%
④償還期限:平成31年1月31日(5年間)
償還方法:元本全額を償還するお問い合わせはこちら
当社では、社債発行に関するお手伝いをさせていただきます。一社あたりの調達金額は数百万円というケースが多いですが、短期間で集めることができています。
社債発行による資金調達をご希望の企業経営者の方はぜひともお問い合わせください。