株式上場

ベンチャー企業にとって、株式を公開して上場企業になるということは、更なる成長を目指す上で有効な手段であり、大きな目標と言えるでしょう。
しかし、株式上場を目指したからと言って簡単に実現できるものではありません。
株式上場にあたっては上場審査を通過しなければいけません。また様々な上場準備が必要となり、株式上場を決意してから上場を実現するまで、最短で2年、一般的に3年〜4年、それ以上かかる場合もあります。

また、上場するということは多くの株主に対する責任が発生します。利益を上げ続けなければいけない責任と、情報を適時開示しなけれなばいけないという責任です。特に株価に影響を及ぼす会計上の情報は正確さとスピードが要求されますので、上場企業になれば社内管理体制の強化は必須となります。

上場準備とは

会議室

また、上場準備には以下のような事項があります。

  • 資本政策の策定
  • 事業計画書、経営ビジョンの策定
  • 監査法人の決定及び監査証明の取得
  • 主幹事証券会社の選定
  • 社内における上場準備室の設置
  • 経営管理及び内部監査体制の確立
  • 会計基準の再確認
  • 月次決算体制の構築
  • 就業規則、諸規定集の見直し
  • 定款の見直し
  • 業務フローのルール作り及び稟議システムの導入
  • 契約書類の整備と会議体における議事録の整備

証券取引所の上場審査の際には、上場後も安定して成長を続けられる企業なのかどうかという点はもちろんのこと、経営管理体制や企業統治(コーポレートガバナンス)に対する姿勢と内部統制レベルについて厳しく審査することになります。
上場企業になるに相応の企業であるか否かが審査されることになります。

上場準備費用について

では、上場準備にかかる費用について触れていきます。
上場を目指す場合、事業計画書の中で上場するための費用を計画数値に盛り込んでおく必要があります。
ではいくらぐらいを上場準備費用として盛り込んでおくべきでしょうか。

  • 監査法人費用(ショートレビュー+2期分の監査証明費用)2,000万円前後
  • 証券会社コンサルティング費用1,000万円前後
  • 上場コンサルティング数百万円前後
  • 有価証券届出書、目論見書等作成費用1,000万円前後

など、おおよそで5,000万円前後の費用がかかるでしょう。また上場後も監査法人費用や証券会社費用(株主名簿名義書換業務など)が恒常的に発生します。
また内部統制としてJ-SOX法に対応するための費用も発生します。
上場すると予想以上に費用負担が膨らみますので、それを踏まえた上で利益を積み上げる必要があります。

株式上場のメリットとデメリット

上場するということは、プライベートカンパニーからパブリックカンパニーになるということですが、ここでは上場のメリットとデメリットについて触れたいと思います。

上場のメリット

①会社の知名度向上と社会的信用力の増大
上場企業=優良企業とのイメージが高まり、顧客や取引先、金融機関からの信用力が高まります。
②優秀な人材確保の従業員のモラルの向上
知名度と信用力の増大から安心感が増し、新卒・中途を含めた優秀な人材の採用が可能となりま
す。また上場会社の従業員である自負からモラルの向上が期待されます。
③資金調達の柔軟性と財務体質の強化
増資などでの資金調達がしやすくなり、自己資本の充実と財務基盤の強化が期待されます。
④経営管理能力の強化
上場準備の過程において経営管理体制が構築され、組織的な経営への転換により経営管理体 
制の充実が図られます。
⑤従業員の福利厚生の充実とストックオプション制度によるモチベーションの向上
従業員持株制度やストックオプション制度の導入により、従業員のモチベーションの向上、及びそれ
に伴う会社業績の向上、従業員の中長期的な財産形成の一助となります。
⑥創業経営者の創業者利益の創出
創業者は株式上場時の株式の売出において、それまで投下した資本の一部を市場で換金すること
ができ、創業者利益を創出することができます。

上場のデメリット

①監査法人、証券会社などへの費用負担の増大
決算報告や有価証券届出書の提出、株式事務など、費用負担が増大します。また収益を生み
出さない管理部門(財務経理、人事総務、内部監査など)の人件費が増加します。
②証券市場での株式流動化によるリスク
株式買占めによる買収(経営権の侵害)や、投機的株式売買の対象となり得ます。

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アベノミクスの影響により数年前よりは上場を目指す企業が増えてきているのが実情です。株式上場によるメリットとデメリットをよく理解し、上場サポートをご希望の企業経営者の方はぜひともお問い合わせください。

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